ファッションモデルの知られざる歴史、時代を象徴するモデルの略歴などを
モデルマニアの私がモデルに関する雑学の集大成としてまとめています。
70年代に入ると、モデル事務所同士のモデル争奪戦が過熱します。
その中で突如登場したのが、ジョン・カサブランカです。
スパニッシュ・アメリカンで、ヨーロッパで教育を受けた彼は、ハンサムで話術も巧みで、女性たちに人気がありました。
1972年にモデル事務所「エリート」をパリで設立し、瞬く間に世界一のモデル・エージェンシーになりました。
それまで、世界のトップを駆け抜けていたのは、アイリーン・フォード率いる「フォード」であり、アメリカではウィルヘルミナのモデル事務所が力を持っていました。
彼女たちに共通して言えることは、「母親のような存在」であったことです。
しかし、70年代には魅力的な男性がモデル事務所を経営するようになり、また彼らにはモデルとしての逸材を見抜く能力があり、モデル事務所の勢力図がすっかり変わってしまったのです。
エリートは、それまで完全にフォードの管轄下であったヨーロッパのモデル市場を支配下に置き、ヨーロッパのモデルたちもエリートを選ぶ傾向が強くなりました。
どうやらモデルたちが、母親のような存在よりも、カサブランカの性的魅力に惹かれた部分も大きかったようです。
また、カサブランカには商才がありました。
エリートがパリに登場し、更にニューヨークに支部を置くことになり、アイリーン・フォードはエージェンシートップの座を奪われることになったのです。